2020.8.4 2022.5.9
ロンドンビジネススクールの特徴、授業内容や評判、卒業生の進路先とは
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ヨーロッパを代表するMBAとしてロンドンビジネススクール (London Business School、略称LBS)があります。
世界的にも有名なビジネススクールで常に世界トップクラスの評価を受けている学校の一つと言えるでしょう。
今回はロンドンビジネススクールの特徴、授業内容や評判、卒業生の進路先について、ロンドンビジネススクールに留学している方のインタビューを元にご紹介いたします。
目次
ロンドンビジネススクールとは
ロンドンビジネススクールはその名の通り、英国ロンドンにキャンパスのあるビジネススクールで、Financial Times MBA Ranking 2020では7位、これまでも世界で有数のトップスクールとして名を馳せています。
Financial Times MBA Rankingでは過去3度世界1位を獲得しており、2020年には21年連続でのTop 10入りとなる世界第7位にランキングされています。
様々な国から集まった合計約2,200人の学生が8つのプログラムで学んでおり、更に毎年10,000人を超えるエグゼクティブ教育参加者を集めています。
ロンドンビジネススクール公認の日本人在校生サイトもありますので、気になる方は参考にしてみましょう。
ロンドンビジネススクールの特徴
ロンドンビジネススクールの特徴について見ていきましょう。
多様性のあるダイバーシティ
ビジネススクールと言えば米国というイメージも強いかもしれませんが、ロンドンビジネススクールにおける生徒のダイバーシティは圧倒的です。
国籍の点では実に60か国から集まっており、授業では世界中の優秀な仲間からの意見を直接聞くことが出来ます。
加えて平均年齢が29-30歳程度と米国MBAに比べてやや高いため、就業経験・マネジメント経験を持つ仲間に恵まれる点も優れたダイバーシティの一環と言えるでしょう。
教授陣も国籍バラエティが豊かで、欧州のみならず北米、南米、アジアなど世界各国から集まっています。
はじめは英語のアクセント、発音に慣れるのが少し大変ですが、これもグローバルビジネスで役に立つと言えるでしょう。
グループワークからの学び
1年目は全授業、2年目に入ってもほぼすべての授業がグループワークです。
1年目は5〜6名のグループを学校が指定し、同じメンバーで統計、マーケティング、ファイナンスなどグループ課題に臨みます。
このメンバーは性別、国籍、バックグラウンドの偏りがないように構成されているので、誰かがファイナンスに圧倒的に強いと思えば、その一方でストラテジーに強いコンサルタントがいたりと助け合い、教え合うことが求められます。
はじめは考え方の違いに戸惑うことも多々ありますが、学生はこの多様性を受け入れ、尊重する傾向が強いため、英語が苦手という人が多い日本人でもリーダーシップを取りやすいと言えるでしょう。
私はファイナンスバックグラウンドであるため、課題で財務モデルを作成してみてどう作られているか説明したり、課題の解答を説明することでチームに貢献していました。
その一方、マーケティング・ストラテジーではメキシコ出身のコンサルバックグラウンドのメンバーが議論を引っ張り、資料作成のコツなどをレクチャーしてもらいました。
学生の主体性に応じたフレキシビリティさ
LBSのプログラムは期間を15、18、21か月(すべて夏休み3か月は含まない)から選べるカリキュラムとなっています。
1年目のコア授業とグループワークは忙しいものの、それさえ過ぎれば比較的余裕を持ったスケジューリングが可能ですので、学生のうちに自分のやりたいことにフォーカスできます。
逆にゆっくりしようと思えばいくらでも出来るので、「この人はLBSに入って主体的にどんなことに取り組みたいんだろう」ということを明確にすることが出願プロセスでは非常に重要です。
主に以下の事柄に時間を使う学生が多いようです。
- 旅行:各自で自由に行くほか、各国の生徒が自国への旅行を企画してくれるTrekに参加
- パートタイムインターン:ロンドンにはスタートアップ、VC、PEなどが集まっているので授業の傍らインターンを行う方も多いです
- 起業:元々持っていたアイディアを試したり、学校の仲間と起業することもあります
- 勉強:プログラミング、CFAなど資格の試験をする方もいます
- 就活:あらゆる企業がロンドンにオフィスを構えていますし、母国に戻る方もリモートで面接を進めています
ロンドンビジネススクールの入試について
日本で教育を受けた方を想定してお話いたしますが、受験のプロセスは以下3つに大別されます。
テストで良いスコアをそろえるのに人によっては1〜2年ほどかかっているケースも散見されますので、早めに英語能力テストだけでも取り組むことがおすすめです。
テスト
これも大きく2つに分けることができ、英語能力テスト(TOEFL, IELTS)と学力テスト(GMAT, GRE)です。
英語能力テスト
英語能力テストではTOEICは使えません。
TOEFL, IELTSのどちらかが国際標準となり、特に学校からスコアの最低基準などはないものの、合格者の話を聞いているとTOEFLで105、IELTSで7.0くらいが最低の水準に近いようです。
これまで慣れ親しんできたReading, Listeningのみならず、日本人が苦手とするアウトプット系のWriting, Speakingが入ってくるので2か月で何とかなる、というようなものではなく時間がかかります。
ただ実際に留学してみると、ここで身に付ける基礎的な英語力は必ず活きるものと認識できます。
学力テスト
一般的に受験者が多いのはGMATの方だと思われます。
これはVerbal、Mathの2パートがメインとなる試験で、前者は英語の文法、論理、文章読解力を問うもの、後者は算数です。
2パートの組み合わせからトータルスコアが算出されます。
よく引き合いに出される水準が800点満点中の700点(およそ世界トップ10%)で、LBS入学者平均は690〜710点程度になっています。
特に日本人が苦労(ネイティブも苦労すると言われている)するのがVerbalで、5つの選択肢から正解を1つ選ぶ問題でも何が正解なのかさっぱり分からないという方も多いです。
解説も英語で書いてあるので理解が100%できるという訳ではありません。
TOEFL/IELTSで散々英語を鍛えたのにもう一段高い山がここに・・・と天を仰いだことを思い出します。
Mathは人によって無対策の方もいればひどく苦労する方もいる、と差が大きいパートです。
一方、Verbalで高得点をキープすることが難しいのでここで満点近くのスコアを維持することがGMAT突破の鍵になります。
ファイナンス職に勤務されている方、理系バックグラウンドの方はMathで使う英語さえマスターすればすんなりクリアできるはずですが、そのようなバックグラウンドでない方は早めの算数対策をおすすめします。
出願
やっとテストが終わったところで、次の山が出願です。
日本の大学のように願書を書けば終わり、ではなくエッセイを書く必要があります。
エッセイの内容は主に以下のようなものが多いです。
Short term / Long term goals
ポストMBA、5年後、10年後のキャリア目標を説明します。
自分のキャリアゴールを明確にして、MBAでの経験が必要なんだという話から以下のWhy MBA?につなげていきます
Why MBA?
何でMBAへの進学を希望するのか説明します。
基本的にはキャリアゴールを叶えるためにMBAがどうしても必要なんだ、というロジックを組み立てることになります。
Why School?
次にMBAの中でもなぜこの学校なのか、を説明します。
MBAに求めるもの、キャリアゴールに必要なものがこの学校には存在して、それをどのようなイベント・授業・活動で結実させていく予定なのかを述べます。
ここでは学校に対する情熱を伝えることが重要になってきて、卒業生・在校生とコンタクトして情報を得たことや実際にキャンパスビジットをして学校の雰囲気を肌で感じたことなど説明することでアピールする学生が多いようです。
私はキャンパスビジットをしている時間がどうしても取れなかったので、その分在校生にLinked in経由でコンタクトを取ってお話し、また更に別の在校生を紹介してもらってと続けながら計12名の在校生・卒業生と関わりを持たせていただきました。
推薦状
エッセイが終わったら推薦状が通常は2通必要になります。
誰にしなさい、という指定はないのですが出願者の人間性を良く知る人に、この人はMBAコースに入って活躍できるか、MBAが必要か、どのような人間かをアピールしてもらうものになります。
人選が非常に重要で、この推薦状の意図を理解してくれて強力してくれる自分よりシニアな人が条件になるため候補者は限られてくるはずです。
このほかスピーキング力を測るためのビデオエッセイや、趣味、学力についての説明、在校生や卒業生とどれくらいコンタクトを取ったのか記載を求められるケースがあります。
インタビュー
以上の書類審査が通ったら、ついに最終関門のインタビューです。
学校によってアドミッションオフィスだったり、近くにいる卒業生が面接官になるケースがありますが、ロンドンビジネススクールでは近くにいる卒業生になります。
質問内容は転職面接のようなBehavioral Question、モチベーションを問う質問が大半だと言えます。
- Why MBA?
- Why School?
- 学校のコミュニティにどう貢献するか?
- キャリアにおける失敗経験・リーダーシップ経験
- どうすれば失敗は回避できたか、リーダーシップを発揮してより良い成果を残せたと考えるか
のような内容が代表例です。
また、面接の最後にミニプレゼンがあります。
お題が与えられて、10分考えたのち5分で自分の意見を表明するものです。
5分で短いのですが、緊張している上に慣れない英語ということもあって、どうしてもたどたどしくなってしまいます。
ただ、受験生の良い所を汲み取ろうとしてくれるはずですので、「自分を売り込むんだ」と前向きに取り組んでいただくと結果も付いてくるでしょう。
ロンドンビジネススクールの学費について
2019年ベースでは総額の学費が82,000ポンドです。
為替によっても金額は変わりますが、約1,150万円になります。
これに加えて物価の高いロンドンでの生活費ですので、自費で行かれる方は十分な貯金をしておくか奨学金などお金の目処をつけるようにしましょう。
ロンドンビジネススクールの評判について
ロンドンビジネススクールのはFinancial Timesをはじめとするランキングで常にトップ10にランクされるトップスクールの一つです。
結果として優秀な学生・教授陣が集まる良いサイクルが出来ているため、授業はもちろんですがクラブ活動や就活の情報交換でもそのレベルは非常に高いと言えます。
土地柄もありますが、特にファイナンスに強いスクールとして知られています。
確かに入学してみるとファイナンス教授陣の情熱や授業の質は非常に高いものがあり、選択科目もコーポレートファイナンス、株式、債券、デリバティブ、ヘッジファンド、と各分野に細分化されてそれぞれ2〜3の授業が展開されています。
そのほかOrganization Behaviorと呼ばれる組織論の分野も有名です。
近年ベストセラーとなった、「LIFE SHIFT」の著者Lynda Grattonさんはロンドンビジネススクールに所属し、Future of Workという有名授業を持っています。
他にもNegotiation & Bargainingという交渉術に関する授業も人気で、日本にいると味わえない異なる国籍・バックグランドの学生たちとタフな交渉術を実践的に学ぶことが出来ます。
授業内容について
授業によりますが、概ねすべての授業でグループワークがあります。
1年生のうちは大半が授業に集中するため皆が同じ方向を向いて熱い議論を繰り広げるケースが多いように思います。
その一方、1年生の終わり、2年生に入ってくると各自就活、インターンシップなど興味がばらけてくるのでグループワークも性格の違うものになってきます。
また、ロンドンビジネススクールは選択科目(Elective)になるとMBAのみならずExecutive MBA(通称EMBA)、学部卒がそのまま入ってくる若手向けプログラム、交換留学生も交えたものになるので、グループワークを通じて更にダイバーシティに富んだ仲間と出会うことが出来ます。
もちろん良いことばかりではなく、チーム内で揉めてしまった挙句そのチームが瓦解することもたまに存在します。
私も一度だけ経験があり、どうしても連絡がルーズな若手向けプログラムの学生と馬が合わずチームを二つに分けて課題を提出したことがありました。
その当時はこの授業を取らなければよかった、と思ったものですが、今振り返るとそういう経験がまた一つ成長の糧になったと認識しています。
卒業生の進路について
日本人は会社派遣の社費制度を利用して入学される方が多いので、基本的には派遣元に戻られて活躍する方が多いです。
ただ、社費で来てもキャリア観が変わった結果辞めて転職する方も存在します。
日本人のみならず、学生に現在人気があるのは戦略コンサルティングファームで全体の約35%が選択するとされています。
MBAで習得した幅広い知識を使うことができる、多様な業界について業務を通じて知ることができる、ポストコンサルのキャリアの広がりが大きいことが魅力と映っているようです。
ITや投資銀行も人気の進路先です。
近年では日本でもGAFAMが有名なように、米系IT企業がMBAのMajor employerとなっています。
MBA学生にとって特徴的な就職活動がサマーインターンシップです。
これは1年目の授業・テストが終わったあと6〜9月の夏休みを利用して、1〜2ヶ月程度企業でインターンシップをしてその業務を体験、ご縁があればオファーをいただけるという就職口を見つけるメジャーな方法です。
このようなインターンの機会を設けてくれるのが戦略コンサルファーム、投資銀行、IT、 ヘルスケア、PEなどになります。
学生の立場としては興味のある業界・企業に長い期間入り込むことでフィットを確認できますし、その上給料もいただける絶好の機会です。
その一方、選考過程は同じMBA学生同士で椅子を争うことになるので厳しいものにもなります。
近年は戦略コンサルファーム、PE業界の人気が高まっているので、晴れてMBAに入学したと思ったらすぐにインターン選考のことを考えなくてはならないという状況が待っています。
多様性のあるトップビジネススクールで多くの成長機会がある
ロンドンビジネススクールはヨーロッパだけではなく、世界各国から優秀な学生や教授が集まるトップクラスのMBAと言えるでしょう。
日本人にとっては入試の敷居がやや高く、自費の場合には授業料も安くはありませんが、それを上回る経験とネットワークを得ることが期待できます。
日本人在校生サイトもありますので興味関心のある方は参考にしてみたり、コンタクトを取ってみてまずは情報収集をしてみることがおすすめです。
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中には5倍以上の倍率の学校もあるため事前準備をしっかりと行い、十分な対策をする必要があると言えるでしょう。
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