2021.3.16 2022.5.9
Harvard Business School(HBS)の難易度、授業内容や評判、卒業生の進路先とは
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アメリカで有名なMBAプログラムといえば様々なビジネススクールがありますが、名実ともにトップスクールの一つとして評判の高いのがHarvard Business School(HBS)です。
今回はHarvard Business Schoolの難易度、授業内容や評判、卒業生の進路先について日本人の卒業生の方に寄稿いただきましたのでご紹介いたします。
目次
Harvard Business Schoolとは
Harvard Business School(ハーバードビジネススクール)は米国東海岸のボストンにあるハーバード大学の経営大学院で、MBAプログラムを1908年に設立しました。
Harvard大学の学部や他の大学院とは独立したキャンパスを持っており、チャールズ河に面しています。
MBAとしてはStanford GSBと並んで世界でも最も実績のあるビジネススクールで、QS World University RankingsやFinantial TimesのMBAランキングでも常に上位に位置していることでも有名です。
マイケル・ポーターやクレイトン・クリステンセンのような有名教授、そして、卒業生には楽天社長の三木谷さんやグロービス学長の堀さんなど、各方面で活躍する経営者を輩出しています。
HBSの特徴とは
HBSの特徴について見ていきましょう。大きな特徴は以下の通りです。
ケースメソッド
HBSにおける授業はすべてケーススタディになります。
2年間の在学中、毎日2,3ケースを読みこなしながら授業に参加するので、物理的にも精神的にも膨大なケースに圧迫されます。
特に最初の数か月は苦労しますが、ケーススタディを何度も積み重ねていくと、たいてい、どんな分野のどんなビジネスの状況に対しても、ポイントを大きく外さない、本質的な考え方の癖みたいなものが自然と身についてくるでしょう。
ケースメソッドの基本的な流れとして、主人公がビジネスにおける特定の課題に直面しており、その状況を分析してどのような意思決定をすべきか、ということをクラスで議論します。
そして、クラスの最後にはケースの主人公本人が教室に登場し、その時実際にどんなことを考えて行動し、どんな意思決定をしたのか、直接話してくれます。
生徒はこのプロセスを通じて、自分自身がビジネスリーダー当事者の立場に立って意思決定をする疑似体験をすることができると言えるのではないでしょうか。
アカデミック、ビジネス共に高いレベルの人材が集まっている
また、教授陣がアカデミックな閉じた世界にいるのではなく、ビジネスの第一線で活躍していることが多いのも大きな特徴です。
Accountingの教授が翌年には米国最大手小売のCFOになっていたり、リーダーシップの教授がある日突然GEのCEOになったり、といったことが起こります。
このように、クラスでのケースディスカッションを誘導する教授自身が実務家でもあるので、クラスルームでの体験にもビジネスの臨場感があります。
クラスメートも多様なバックグラウンドの人間が集まっているので、クラスメートの発言から学ぶことは非常に多いです。
私は現在VC投資家として、あらゆるセクターに投資し、投資先の経営課題に向き合っていますが、HBSのケーススタディを通じて養った実践的な物事の考え方が非常に役立っています。
充実したキャンパスライフ、および幅広い課外活動
HBSでは充実したキャンパスライフ、幅広い課外活動を送ることができることも大きなメリットとして挙げられます。
キャンパス
HBSのキャンパスは非常に広大で、卒業生から寄付された豊富な資金により施設・設備も非常に充実しているので、キャンパスで不便を感じることはまったくありません。
ちょっと変わった学生向けサービスとしては、授業でのストレスを緩和するために、ロビーで無料マッサージを受けたり、セラピー犬と戯れたりできますし、カフェテリアには寿司カウンターまであります。
キャンパスライフ
入学した約900人の学生は、10のセクションにクラス分けされ、90人のセクションメートと最も多くの時間を過ごすことになります。
セクション毎に教室が割り当てられ、1年目の必須授業はすべてセクションメートとともに受けます。
また、旅行やパーティー、スポーツイベントなどもセクションメートと行うため、親密な関係が築けるのではないでしょうか。
Discussion Group
ケースメソッドに不慣れな1年目は、セクション横断で6名ほどのDiscussion Groupに所属し、毎朝授業開始前にそのメンバーで集まり、ケースの内容についてディスカッションし、授業に備えます。
このメンバーとも非常に仲良くなり、飲みに行ったり、旅行に行ったりすることも多いです。
クラブ活動、コンファレンス
クラブ活動によって、他のセクションの同級生との交流が深まります。
私は、Asia Business Club, Outdoor Club, Africa Busines Club, VC/PE Club, Tech Club等に所属していました。
クラブを通じてインターン機会や就職活動の情報交換や紹介も活発におこなわれます。
また、各クラブが開催するコンファレンスは、その業界を代表する著名人がスピーカーに名を連ね、HBS卒業生との接点も芽生えます。
私の場合は、Africa Business Clubを通じて、アフリカのスタートアップ/VC関係者と出会い、今でもその繫がりが仕事に生きています。
トレック
セクションメートとの週末旅行以外に、世界各国へのトレックを留学生が企画ます。
ジャパントレックはHBSの中でも最大の人気を誇るトレックで、私たちは日本人9名で約150人のクラスメートを日本に案内しました。
トヨタ工場見学、楽天オフィス訪問等に加え、広島・京都観光、そして毎晩クラブに繰り出して飲み歩いたりと、とても楽しい時間を過ごしました。
また、私がブータントレックに参加したときには、首相との面談も実現しました。
起業支援
HBSは起業支援がかなり手厚く、Rock Centerにて、錚々たるアドバイザーからのメンタリング、デスクスペース、ピッチイベントへの出場、資金サポート等、様々な支援を受けられます。
HBS卒業生の幅広いネットワーク
伝統とブランドのあるビジネススクールとして、HBSの卒業生ネットワークは非常に素晴らしいと言えるでしょう。
どんな国のどんな分野においても、HBS卒業生のネットワークを辿れば、ほぼキーパーソンに辿りつくことができると言っても過言ではありません。
在校生と卒業生の間の交流は非常に活発ですし、たとえそれほど親密でない同級生同士であっても、ネットワーキングに関してはお互いに気軽に助け合うカルチャーが根付いています。
そして卒業後も、世界各地で卒業生の集まるイベントが開催されており、HBSコミュニティの結びつきは他校に比べても圧倒的に強いです。
また、HBSには毎年約900人の学生が入学するので、他のビジネススクールに比べても在校生の数が多いのが特徴です。
これはすなわち、毎年900人のHBS卒業生が世界各地に散らばっていくので、必然的に卒業生ネットワークの規模も非常に大きいです。
私は商社→HBS→アフリカでVC共同創業という進路を辿りましたが、HBSのネットワークが無かったら、何倍もの時間がかかっていたと思います。
VCの立ち上げから資金調達、投資先のソーシング、そして共同出資する同業他社に至るまで、あらゆるところでHBSの先輩や同級生との繫がりに助けられました。
入試について
他のスクール同様、英語の基礎能力を図る英語能力テスト(TOEFL, IELTS)と学力テスト(GMAT)のスコア提出が必要です。
HBSの授業はすべてケースディスカッションのため、高いスピーキング能力が求められます。
TOEFLは最低110点と言われており、足きりはないと思いますが、かなり厳しく見られます。
GMATに関しては、720点を超えることを意識することが必要です。
TOEFL/GMAT の勉強方法に関しては、様々なやり方と意見があると思いますが、大事なことはできる限り自分自身とバックグラウンドや学力レベルの似た人の意見を参考にすることだと思います。
試験対策以外で有用なアプローチとしては下記が挙げられます。
六本木アカデミーヒルズのHBS日本リサーチセンター
日本におけるHBSコミュニティとの接点となるのがこちらです。
様々なセッションやセミナーが開催され、日本にいながらHBSの教室の熱気を感じることができます。
こちらのイベントに参加すると、HBSの卒業生とも知り合う機会ができます。
センター長の佐藤さんは非常に気さくな方で、親身になって相談に乗ってくれるでしょう。
キャンパスビジット
ハーバードの広大なキャンパスは、ボストン有数の観光スポットです。
HBSのキャンパスを訪問し、在校生に依頼すれば授業見学もできます。
HBSのキャンパスライフを覗けば、大きな刺激を受けて受験のモチベーションアップとなること間違いなしです。
HBS在校生によるWebsite
こちらで、HBSの在校生が非公式に日本語で提供する受験アドバイスや学生生活に関する情報を見ることができます。
HBSによる公式Information Session
受験・入学に関して、公式なInformation Sessionが定期的に行われますので、こちらをチェックしてみてください。
出願について
HBSに出願するにあたってはエッセイと推薦状を出し、通過すると面接に望むこととなります。
エッセイと推薦状
HBSのエッセイは、受験者が自分自身の内面に深く向き合い、今後何を成し遂げたいのかということを考えさせるものです。
まずは書いてみて、ドラフトが出来上がったら、自分のことをよく知っている人たちに読んでもらい、フィードバックをもらいながら書き直すことをお勧めします。
推薦状(2通)に関しては、自分の一番の理解者である直属の上司や信頼関係のある取引先の上長などに書いてもらうことが理想的です。
エッセイの内容、申請書類の内容、そして推薦状の内容が、それぞれ、受験者の異なる側面を照らし出して、アドミッションが受験者の人物像を360度ビューで見られるようにすることを意識するとよいと思います。
面接
書類審査を通過するとインタビュー・プロセスへ進みます。
新型コロナウイルス前は面接場所を世界中から選ぶことができ、日本でもアドミッションオフィサーと対面で受けることができました。
面接の際、念頭に置いておくべきことは、「あなたにとってWhy HBS?」という視点だけでなく、「HBSにとってWhy You?」という視点です。
学校側の立場に立つと、一定の米国人:留学生比率のもとで、いかに効率よく、留学生が多様な価値観をクラスルームにもたらしてくれるか、というのが大きな関心のひとつです。
私たち外国人留学生は、MBA留学によって、リッチな学習環境のなかで世界最高の business education を受け、将来世界を変えていく classmate たちとの一生涯の交流という、大きな果実を手に入れることになりますが、学校がそうした環境を用意する大きな理由のひとつは、米国人エリートたちが、米国にいながらにして、混沌としたこの世界の縮図をクラスルームで擬似体験し、多様な価値観が交錯する中で、Decision Making と Leadershipの方法を学ぶ、という目的があることは念頭に置いておく必要があります。
この点を意識すると、我々外国人留学生に求められる役割というのも自然と見えてきます。
1人3役を果たすくらいのパワーで、アメリカ人とは違う視点、知識、考え方、経験をクラスに提供することが学校にとって重要なのであり、その potentiality をいかに面接でアピールするか、ということが重要になります。
学費について
学費は1年につき73,440米ドルと約800万円程度になります。
他の欧州トップビジネススクールと比べて高くはないと言えるでしょう。
また、ボストンの生活費はニューヨークやロンドンなどの都市と比べると抑えられるのではないでしょうか。
卒業生の進路
卒業後、まずはコンサル、投資銀行という典型的なPost-MBAのキャリアを歩む人もいますが、近年は、スタートアップ、PE、VCへの就職を目指す人もかなり多いです。
留学中のサマーインターン先に就職するパターンもあります。
参考まで、私が卒業したHBS Class of 2019の日本人留学生の進路は下記のとおりです。
学費 | 留学前 | 卒業後 |
---|---|---|
社費 | 商社 | 商社の事業会社(米国) |
社費 | 商社 | IT(日本) |
社費 | 商社 | VC起業(ナイジェリア) |
社費 | 不動産 | 不動産の事業会社(米国) |
社費 | 証券会社 | 外資系PE(日本) |
自費 | 外資系IT | PE(日本) |
自費 | 外資系FMCG | 外資系コンサル(米国) |
自費 | 投資銀行 | ヘッジファンド(米国) |
自費 | 会計コンサル/国際協力 | スタートアップ(ケニア) |
自費 | 商社 | スタートアップ(米国) |
世界トップレベルのビジネススクールを目指したい人におすすめ
Harvard Business Schoolはビジネススクールの中でも最も有名な一つで、日本でもHarvard Business Reviewが販売されているなど多くの方が知っている学校です。
世界各国から様々なバックグラウンドを持った学生や教授人が集まっており、濃密な時間はプロフェッショナルとしてのみならず、一個人として成長する機会にあふれています。
知名度の高さやアルムナイのネットワークは他の学校にはない特徴と言えるでしょう。
国内ビジネススクール(MBA)入学対策予備校・塾 MBAゼミナールについて
弊社にて国内ビジネススクール(MBA)の入学対策予備校・塾として【MBAゼミナール(https://mba-seminar.com/)】を開始いたしました。
近年は新型コロナウイルスの影響もあり、海外ビジネススクールに行けなかった方が国内ビジネススクールを選択しているケースも多く、人気校を中心に倍率が上がっている傾向があります。
中には5倍以上の倍率の学校もあるため事前準備をしっかりと行い、十分な対策をする必要があると言えるでしょう。
講師はすべて国内外のMBA保有者のみで、入学対策はもちろん、入学後からキャリアアップまで中長期的な視点を持って一人一人に寄り添うことが特徴です。
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