2021.2.14 2022.5.9
HEC Parisの授業内容や評判、卒業生の進路先とは
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ヨーロッパで有名なMBAプログラムといえば様々なビジネススクールがありますが、フランスにあるHEC Parisは近年MBAランキングにおいて欧州トップのビジネススクールとして評価、注目を集めています。
今回はHEC Parisの特徴、授業内容や評判、卒業生の進路先についてご紹介いたします。
目次
HEC Parisとは
HEC Parisは、École des hautes études commerciales de Parisの略で、フランスにおけるグランゼコールの一校に数えられます。
日本語ではアッシュ・ウ・セ・パリと呼ばれることが多いです。
グランゼコールとはフランスの高等教育機関であり、卒業生は政治やビジネス界において、その高い教育水準が評価されていることが有名です。
1969年に欧州最初のフルタイムMBAプログラムの一つとして、HECのMBAプログラムが設立されました。
卒業生にはフランスの前大統領やルノー会長、Michelin CEO等の著名人が挙げられます。
HEC Parisは、Master of Business Administration (MBA)とMaster in Management(MiM)という2つの主なプログラムを持っており、今回はMBAのプログラムについて紹介いたします。
MBAランキングについては2021年におけるFinancial TimesのGlobal MBA Rankingにおいて7位にランクされており、その他QS、The EconomistのランキングにおいてもTOP10にランクインしています。
特にDiversityとAlumniネットワークに関して高く評価されています。
参考:Financial Times Global MBA Ranking2021
HEC Parisの特徴とは
HEC Parisの特徴について見ていきましょう。大きな特徴は以下の通りです。
16ヵ月のインテンシブな学生生活
16ヵ月間に渡る、タイトなコミュニティでのバランスの取れたCore Phaseと専門性を追求可能なCustomized Phaseに分かれています。
Core Phase
AccountingやFinance、Strategy等に加えて、Leading People & TeamやEthics & Sustainability等を受講。
Core Phaseでは、5~6人のスタディグループが設定され、課題や予習等を行います。
Customized Phase
StrategyやInnovation、Finance、Marketing等を集中的に学ぶSpecialization、テーマを設定しリサーチペーパーを作成するMBA Project、特定の専門領域を実務レベルで学ぶCertificateを選択。
加えて、世界中のビジネススクールとのExchange及びビジネススクール又はマスタープログラムとのDouble Degreeも選択可能です。
日本では慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)と提携しています。
2つの入学時期
HEC Parisのスケジュールにおける特徴は、9月入学(September Intake)と1月入学(January Intake)の2種類あるという部分です。
9月入学(September Intake)は、9月に入学し、次の年の12月まで授業を受けます。
約170名のクラスメートを持ち、3つのクラスに分けられます。
1月入学(January Intake)は、9月入学のクラスメートが入学した4カ月後、次の年の1月に入学し、その次の年の4月まで授業を受けます。
約110名のクラスメートを持ち、2つのクラスに分けられます。
これらの9月入学と1月入学のクラスメートが、Class of 2022等のStudent Bodyを形成するメンバーとなり、それぞれ16カ月のプログラムを受け、通常6月に卒業を迎えます。
多様なメンバーとのインタラクティブな学びの機会
全体の90%以上がフランス以外のInternationalなメンバーで構成されています
クラスメイトのIndustry、Functionが多岐にわたるため、授業の学びが深く、キャリアを模索する中でもとても有益と言えるでしょう。
また、大半がキャンパス内の寮に住み、授業を越えたインタラクティブな関係性の構築が可能です。
MBA以外とのネットワーク、上述した9月、1月入学のintake及びMBA1年生-2年生の密接な関係性もあります。
多くのリーダーシップの機会(チームをオーガナイズしてのMBAT、Club、TEC、欧州ビジネススクール主催のCase Competition等)やキャリアの幅を広げるトレック等
も充実しています。
アドミッション
HEC Parisの合格率は、18.9%と他のトップスクールと比較し、競争率の高い数字となっております。
アドミッションプロセスは、下記の通り一般的なビジネススクールと大きく異なるものではありません。
- エッセイ
- 学部・大学院の成績
- TOEFL・IELTS
- GMAT・GRE
最も特徴的な部分は、エッセイの中で様々な人間性と問う質問が課されるところです。
ここではアプリカントの価値観や経験、興味等を確認する質問が用意されております。
学校は、様々なバックグランドや実務経験を持った人を求めておりますが、それ以上にアプリカントのより深い人間性を確認することで、クラスルームの多種多様な学びを担保しようとしていると感じます。
候補者としてこれらの書類を提出したのち、書類審査を通過したアプリカントは、通常2回のアルムナイとの面接に進むことになります。
面接においては、自分の選んだトピックについて10分程度のプレゼンテーションをすることとなっております。
面接自体は面接官によって異なりますが、一般的な内容(Why MBA? Why school?等)が通例のようです。
また、面接官は日本人と外国人のアルムナイという組み合わせが一般的のようです。
学費
2020年ベースで74,000ユーロで日本円では1,000万円弱となります。
他の欧州トップビジネススクールと比べて高くはないと言えるでしょう。
一方でパリの生活費は他の欧州の都市と比べても高く、東京よりも高くなるイメージだと思います。
授業内容について
HECのMBAプログラム(Full-time)は16か月であり、前半8か月は必修科目を受講するFundamental Phase、後半8か月は選択科目を受講するCustomized Phaseです。
9月入学でも1月入学でも、基本的には全く同じコースを受講することができますが、交換留学を行えるタイミングなどが若干異なります。
プログラムは4つのTermで構成され、9月入学の場合は下記のようになります (1月入学の場合は、Term 3でSpecialization、Term 4でElectivesとなります)。
Fundamental Phase
Term 1: Core classes
Term 2: Core classes
Customized Phase
Term 3: Electives
Term 4: Specialization
Fundamental Phaseにおいては、戦略やファイナンス、オペレーションや組織論等を学びます。
Term1と2においては、それぞれクラスが分けられますが、その中でもスタディグループと呼ばれる、国籍や職歴などを考慮した5~6人のメンバーに分けられます。
このスタディグループでは、グループワークをやったり、課題を共に行ったりします。下記が授業内容となります(2020年時点)。
Term 1
- Negosim Business Simulation
- Problem Solving & Communications
- Financial Accounting & Reporting–Bach
- Financial Markets
- Managerial Economics
- Marketing
- Statistics & Business Analytics
- Giving and Receiving Feedback
- Leading People & Teams
Term 2
- Corporate Finance
- Ethics & Sustainability
- Management Accounting & Control
- Operations Management
- Organizational Behavior
- Strategic Management
- Sigma Challenge – Cross – Functional Business Simulation
ここでは一般的な授業に加えて、シミュレーションが加えられているのが特徴です。
また、問題解決やフィードバックを学ぶ授業等もあり、卒業後を意識したより実践的な授業内容となっております。
授業の特徴は、レクチャーとディスカッションに加えて、クラスメイトとのインタラクティブなワーク等も多く見られ、とてもバランスの取れたものと言えます。
教授陣もアカデミア出身と実務家出身のバランスもとれており、授業内容がアカデミックで理論的なものと、実践的なもののバランスが担保されていると感じました。
最後に、近年投資家がESGという観点で投資対象を選定する流れが強くなっており、様々な授業において環境や社会的責任、サスティナビリティを学ぶような仕組みとなっていることも特徴と言えるでしょう。
Customized Phaseの前半は、Electivesを8つ取ります。
Electivesの授業は多岐に及び、クラスでの一般的な授業に加えて、オフキャンパスで行うもの(例えば、パリ市内やドイツで行われるもの)、オンラインのものがあります。
また、Electiveの授業を4つ行い、MBA Projectという自主的なリサーチペーパーの作成をし、Elective 4つ分の単位とすることも可能です。
MBA Projectというのは、自分で調べたいテーマを設定し、自分で研究計画を作成、教授と相談し、自ら研究を行うものです。
必要な際に教授に相談等を行うことができ、またインターンシップと関連させた内容とすることも可能です。
Customized Phaseの後半は、Specializationを自ら選び、それぞれの専門的な教科を取得します。
- Fundamental Phase
- Marketing
- Strategy
- Finance
- Entrepreneurship
- Advanced Management
- Digital innovation
- Sustainable & Disruptive Innovation
それぞれのSpecializationでは、授業が6-8個となっており、最も人気なものはStrategy、その次はFinanceのようです。
それ以外にも、HEC Parisは、ラグジュアリ業界に圧倒的な強みを持っており、パリというロケーションとMarketingとの親和性はとても高いと言えます。
また、近年サステナビリティにも力を入れており、Sustainabilityの分野は受験生からのニーズも高くなっております。
Customized PhaseのどちらかのTermにおいて、交換留学に行くことも可能です。
評判について
HECは1881年にパリ商工会議所(Chambre de commerce et d’industrie de Paris:CCIP)によって設立されて以来、フランスの名門グランゼコールの一つとして、フランス・ヨーロッパの政財界に数多くの人材を輩出し続けています。
現在でもフランスの主要企業のTop managementの多くが当大学院のAlumniで占められており、グローバルでもFortune 500のCEO数でHECのAlumniが全世界で常にトップを争っています。
HEC Parisはヨーロッパにおいて圧倒的な知名度があり、地域において様々なMBA及びMiMの卒業生が活躍していることが背景として挙げられるでしょう。
卒業生の進路について
HEC Parisの就職活動はインターンシップとフルタイムの二つに分けられます。
HEC Parisの在校生は一般的に7月と8月の2カ月間インターンシップに使うことができます。
日本人以外の学生は、ヨーロッパでのフルタイム就職を狙っているメンバーも多いため、ヨーロッパでのインターンシップを狙うことが多いです。
日本人の学生は、日本でインターンシップをする人もいれば、海外でインターンシップをするメンバーもいます。
フルタイムにおいては、近年海外で就職する日本人の卒業生も多く、フランスを中心にヨーロッパ就職が圧倒的に多いと言えるでしょう。
背景として、1つ目に挙げられるのは、HEC Parisはフランスの学校ではありますが、ヨーロッパの様々な求人に応募できる点です。
最後に、HECのフレキシブルなスケジュールが挙げられます。
例えば、September Intakeであれば、1年目の夏及び2年目の1月以降、2回インターンシップをすることができます。
また、2年目の1月以降、希望のポジションが見つかり次第、すぐに働くことも可能です。
求人の中でも、特にリプレイスメントという前任者の退職により企業が求人する場合、企業はできる限り早く応募者に働いてもらうことを希望する場合が多く、このようなポジションに応募する場合も、卒業を待つことなく働き始めることができるので、希望の職種につける可能性を高めることができます。
日本語サイトもあるので気になる方は見てみよう
HEC Parisは、16カ月のフレキシブルでありながら、クラスサイズや寮という観点からインテンシブな環境での学びが特徴です。
また、様々なバックグラウンドとの濃密な時間はプロフェッショナルとしてのみならず、一個人として成長する機会にあふれています。
ヨーロッパにおける知名度の高さやアルムナイのネットワークを活かした就職活動は、他の学校にはない特徴と言えるでしょう。
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