2021.9.24 2021.9.24
自己都合退職、会社都合退職の違いとメリット・デメリットとは
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退職には、「自己都合退職」と「会社都合退職」の2パターンがあることをご存知ですか?
この2つには、失業後にもらえる失業給付金の額や給付期間、退職金がもらえる際の支給額など、意外と大きな違いがあります。
そこで今回は、自己都合退職と会社都合退職の違いや、メリット・デメリットについてご紹介します。
目次
自己都合退職とは
自己都合退職とは、転居・結婚・介護・病気療養のための退職はもちろん、自分が望む仕事内容・待遇などを求めて退職をすることです。
一般的に、多くの退職が自己都合退職に当てはまります。
会社都合退職とは
会社都合退職とは、倒産や解雇等の会社側の都合によって退職することです。
また、会社から退職勧奨を受けて退職する場合も、会社都合退職に当てはまります。
具体的には、厚生労働省のHPにて以下のとおり定められています。
- 倒産による離職
- 退職者が大量に出たことによる離職
- 事業所の廃止に伴う離職
- 事業所の移転により、通勤することが困難となったことによる離職
- 会社から解雇されたことによる離職(自己の責めに帰すべき重大な事由に基づく解雇を除く。例えば故意に会社に損害を与えるなどして懲戒解雇されたときは、失業保険給付の手続上は自己都合退職と同様に扱われます。)
- 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく違っていたことによる離職
- 3分の1以上の賃金(退職手当を除く)の不払いがあったことによる離職
- 労働者が予見できない事由により、15%以上、賃金がカットされたことによる離職
- あまりにも長い残業による離職
- ハラスメントを受けたことによる離職
- 退職勧奨を受けたことによる離職(従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等に応募しての離職の場合は、自己都合退職となります。)
- 会社のせいで会社の休業が3ヶ月以上となったことによる離職
- 会社の業務が法令に違反したことによる離職
- 期間の定めのある雇用契約が更新されて3年以上継続して雇用されている場合で、労働者が当該雇用契約の更新を希望しても更新されなかったため、離職した場合(定年退職後再雇用されたが、あらかじめ定められていた再雇用期限の到来に伴い離職した場合は除く)
- 期間の定めのある労働契約の締結の際に、当該雇用契約を必ず更新すると明示されていたが、労働者が当該雇用契約の更新を希望しても、更新されないため離職した場合
※なお、2022年5月1日以降、新型コロナウイルス感染症の感染予防を理由として、やむを得ず離職した方も「特定受給資格者」として扱われます(その他一定の要件を満たす必要があります)。
なお、定年退職や有期契約社員の契約期間満了による退職については、会社都合退職にはなりません。
会社都合で退職するなら、やむなく退職に至ったことがわかるものを手元に保管しておくことが必要です。
たとえば、解雇されたのであれば「解雇理由証明書」、給与の著しい遅延や未払いが原因であれば給与振込口座の通帳などが挙げられます。
「自己都合退職」のメリット・デメリット
自己都合退職のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
自己都合退職のメリット
自己都合退職の場合、履歴書の退職理由は「一身上の都合」として記載するだけで問題ありません。
転職活動においては、特段深く追及されない点がメリットでしょう。
自己都合退職のデメリット
失業給付金の支給を受けるまでの期間、また金額が会社都合退職と異なります。
自己都合退職には、3ヶ月の「給付制限」があります。
加えて、ハローワークへの申請を経て、最低でも待機期間として7日間は待つ必要があり、どんなに早くても「3ヶ月と7日後」からの支給となります。
また、会社都合退職と比較すると額が少なく、給付期間も短くなります。
なお、退職金を支給している企業においては、自己都合退職の場合は会社都合退職よりも退職金が減額されるケースがほとんどです。
ただ、会社によって異なるので、詳細は就業規則を確認するようにしてください。
失業給付金の制限が免除される自己都合退職
一般的な例をご紹介しましたが、同じ自己都合退職でも、理由によっては「特定理由離職者」として給付制限が免除される特殊なケースがあります。
また、会社都合退職と同様に、給付日数が長くなったり、国民健康保険料が軽減されたりする場合もあります。下記はその一例です。
- 親の死亡によって家庭状況の急変した場合
- 0日以上の長期間にわたる家族への看護や介護を行っていた場合
- 結婚や事業所の移転などにより、往復の通勤時間が4時間以上となり通勤が難しくなった場合
- 医師の判断で退職したほうが良いとアドバイスされていた場合
実際に「特定理由離職者」認められるかどうかは、個別の事例によって異なります。
詳細はハローワークにて確認が必要です。
「会社都合退職」のメリット・デメリット
会社都合退職のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
会社都合退職のメリット
失業給付金を受け取る際に早めに受給できる
自己都合退職の場合、失業給付金が支給されるまでの手続に時間を要しますが、会社都合の場合は「特定受給資格者」となり、離職票提出の7日後には失業給付金を受け取ることが可能です。
失業給付金を受け取れる期間が長い
会社都合退職であれば、失業給付金が支給される日数は90日~330日と自己都合退職の90日~150日と比較し、長めとなっています。
給付日数が長いので、それに伴って受け取れる金額も多くなります。
雇用保険への加入期間が半年以上で失業給付金を受け取れる
自己都合退職の場合は、1年以上の加入期間が必要となっていますが、会社都合退職の場合は半年以上の加入期間があれば、最大90日まで給付金が支給されます。
解雇予告手当を受け取れる可能性がある
会社都合による急な解雇であれば、「解雇予告手当」が支給される可能性があります。
即日解雇の場合は30日分以上の平均賃金が受け取れ、解雇予告が30日以内の場合は、短くなった日数分の平均賃金を受け取ることが可能です。
会社都合退職のデメリット
履歴書に「会社都合による退職」という文字が残ることが最大のデメリットといえます。
会社都合退職の自由は前述のとおり、さまざまです。
その中でも、倒産による人員整理等のやむを得ない理由であれば問題ありませんが、「解雇」の場合は、選考時にその理由を深く聞かれることが多いです。
従業員を解雇するには会社側にもリピュテーションリスク等、さまざまなリスクが伴います。
それらのリスクを請け負ってまでも、解雇という選択をとらせているという事実は、少なからずマイナスなイメージを生んでしまう場合が多い為、就労時に問題を起こしていないか、トラブルがなかったか、業績は?…などと疑われてしまう可能性は十分にあり得てしまうのです。
ですので、自己都合退職と比べて、より慎重に書類・面接対策を練っておく必要があります。
なかには、上記に挙げたメリットを享受するだけの為に、会社側にさまざまな理由をつけて会社都合退職にしようとする人もいますが、経歴への影響を考えると賢明ではありません。
一度でも会社都合退職をすると、「会社都合退職」の文字はいつまでも残るということを忘れないようにしてください。
会社都合退職なのに退職願や退職届の提出を求められたら
さいごに、会社都合退職に当てはまるにもかかわらず、会社によっては無理やり自己都合退職にさせられてしまうことがあり、トラブルにつながってしまうケースがあるので、注意喚起として記載しておきます。
会社都合退職は、前述のとおり従業員側にもデメリットはありますが、会社側にとっても助成金の支給停止やリピュテーションリスクといったデメリットが生じてしまうため、企業によっては、従業員に退職願や退職届の提出を求め、自己都合退職扱いにしてしまうこともあります。
手続き上どうしても退職願や退職届の提出が必要と促された場合は、書面に会社都合である旨がわかるように記載しておくことが重要です。
場合によっては訴訟問題になりうる事柄なので、念には念を入れて対応しましょう。
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