2021.3.10 2021.9.11
「VUCA(ブーカ)」の意味とは?VUCAの時代に求められる人物像とは
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近年ビジネスの間で使われることが多くなってきている「VUCA」という言葉をご存知でしょうか。
「VUCA(ブーカ)」とは、社会あるいはビジネスにおいて、不確実性が高く将来の予測が困難な状況であることを示す造語です。
VUCAとは、「Volatility(ボラティリティ:変動性)」、「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」、「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」、「Ambiguity(アンビギュイティ:曖昧性)」という単語の頭文字を並べた言葉です。
今回はVUCAの意味とVUCAの時代に求められる人物像についてご紹介いたします。
目次
VUCA(ブーカ)とは
VUCAは元々冷戦後より戦略が複雑化した状態を示す軍事用語として使われていた背景があり、2010年ごろより、「VUCAワールド」「VUCA時代」のようにビジネス用語としても使われるようになりました。
VUCAに込められた4つの単語が示す通り、VUCA時代とは変動性が高く、不確実で複雑、さらに曖昧さを含んだ社会情勢を示しています。
2020年においては新型コロナウイルスによってこれまでの常識ががらりと変わる中、IT革命がおこる等、企業を取り巻く環境はますます変化しています。
このように、働き方や事業展開のあり方、常識が変化してきた現代において、求められる人材像、能力はどのように変わってきているのでしょうか。
VUCAそれぞれが示す変化とは
ビジネス界でVUCAという言葉が頻繁に使われるようになったのは、2010年以降とされています。
経済活動や組織運営、個人の活動などあらゆるモノを取りまく環境が複雑性を増し、未来予測がつけにくい状況を表す言葉として登場するようになりました。
では、VUCAそれぞれの言葉は、具体的にどのような状態を指しているのでしょうか。
Volatility (変動性)
先に述べたように、昨今IT技術の進歩は目まぐるしく、テクノロジーの側面はもちろんのこと、その延長で価値観や社会の仕組みといったさまざまな面での変化が見られます。
さらにその変化は目を見張るようなスピードで起こり、社会がもつ価値観そのものが変化していくことから、今までの常識では考えられないような方向に動いていく可能性もあり、予測を立てること自体も難しくなってきています。
先の見通しを立てることが難しい、この“変動性”はビジネスにおける不安要素として考えられています。
また、現代ではイノベーションが次々と生まれています。
例えば、タクシー業界、フードデリバリー業界は「Uber」という新しいサービスが誕生しました。
Uberは、一般の人が運転手、食事を届けるデリバーになり、一般の人がお客として利用するというビジネスモデルを作ったことで、運転手や車などの固定費を持たないノーリスクの商売を可能としています。
またSNS業界では、facebookやTikTokをはじめとして、瞬く間に多種多様で巨大なプラットフォームが誕生し、それらは広告業だけでなく、金融業まで幅広く展開し、消費者の購買意欲にも大きく影響しています。
元々の業界は、全く異なるサービスモデルが生まれると、はじめはなぜ売上が下がっているか分かりません。
気づいたときには、業界の概念を覆すような、新しいサービスが生まれているのです。
このように、今までは自分達と同業界の競合を意識していればよかったのですが、そもそもの業界というくくりの概念自体がなくなりつつあります。
「自分達は何と戦っているのか見えない」という状態のなかで、戦略を立てて動く必要がでてきています。
Uncertainty(不確実性)
VUCAの時代には、これまでまったく予測できなかったことが当然のように起こります。
人為的である政治的出来事をはじめ、地球規模で起こる大きな自然災害、さらには今までの常識を覆したコロナウイルスの蔓延など、“不確実”なものごとが次から次へと起こっています。
その影響がビジネスの障害となることは言うまでもありません。
想定外の出来事は、常に起こり得る可能性があります。突然のドラスティックな変化によって、自己を取り巻く環状も大きく変わるでしょう。
これまでうまくいってきたことも、明日にはどうなっているのか分からず、不安が常に存在しているのが現状です。
予測不可能な政変や災害などの出来事によって未来がどうなるかの予想が困難な状態を不確実性といいます。
そのため、自己を取り巻く状況を、的確に素早く把握したり、さまざまな情報を貪欲に吸収したりしていきながら、成果を挙げることが日常的に求められているのです。
Complexity (複雑性)
一つの問題が、地球規模のさまざまな事象と絡み合って複雑になり、不安要素を構成しています。
例えば、2007年のアメリカのサブプライムローン。アメリカで起こった問題は、やがて世界規模での金融危機を引き起こし、世界経済全体が大きな打撃を受けました。
経済は一層のグローバル化をみせ、1つの企業や1つの国で解決できる問題が少なくなりました。
さらに、それらは地球規模で複雑に絡み合っていることから、単純に解決できる問題自体も減少しているでしょう。
その結果、1つの問題がより一層困難なものになりつつあります。
経済のグローバル化が一層進んだ現代社会では、一つの企業、一つの国で解決できる問題が極端に少なくなりました。
地球規模でパラメータが複雑に絡み合っているため、問題解決は単純ではなく、より一層困難なものになりつつあるのです。
Ambiguity (曖昧性)
ITの進化によって「業界の区分」は曖昧になっているといえるでしょう。
これまでは1つの業界が手掛けていた分野にも、さまざまな業界の進出が目立つようになりました。
先に述べてきたとおり、VUCAの時代においては、少し先の予想も立てるのが困難、つまり、ビジネス環境は “曖昧”になっている状態といえます。
だからこそ、変化を素早く察知して、対応する力が必要になってきます。
外的要素としては、新型コロナウイルスによって東京五輪の開催は1年延期しましたが、開催直前まで果たして本当に開催するのか否かも危ぶまれており、それによって経済界へも大きく影響が出ていました。
東京での開催が決まった時、さらには、つい2-3か月前でさえも、このような事態になるとは誰も予測できませんでした。
この「曖昧性」を利用してビジネスを展開する企業も増えてきています。
例えば、将来性が高いと判断したスタートアップ等に投資をして、企業価値が上がった後の株式売却によって利益を得るベンチャーキャピタル(投資会社)は、投資先の企業価値が上がるかどうか不明な段階、つまり、“曖昧性”が高い状況の中で意思決定を行う必要がある事業です。
このように曖昧性が高い状況の中で、いかに短期間で確度の高い意思決定ができるかどうかが、このVUCA時代には必要になってきます。
VUCA時代に求められる人物像とは
VUCA時代に求められる人物像とはどのようなものか見ていきましょう。
明確なビジョンをもった行動
不確定要素が多い「VUCA」時代には、明確なビジョンを持つことが必要です。
自身が将来どうありたいかを明確にすることで、状況の急な変化や、想定外の出来事に見舞われた場合でも、成果や目的の実現を基準とした行動が選び取れます。
一人ひとりが自律しながらビジョンに向かってともに行動することで、活発なコミュニケーション下でパフォーマンスが向上したり、さらには新規事業の創設も促されたりと、VUCA時代でも生き抜く能力として高く評価されるでしょう。
常にリスクヘッジを考えた行動
VUCAの時代においては、先に述べたとおり、何がおこってもおかしくないような状況です。
自然に起こりうる天災や疫病、また人為的である政治的変動、同時多発テロなど、いつどのようなリスクが降りかかってくるかわかりません。
昨今ではコロナ禍による経営への影響はまさにその恰好の事例と言えるでしょう。
組織としての情報感度と情報収集力を高め、起こり得る変化の可能性についてさまざまな角度から想定し、多様なリスクに対応できる組織体制を整えておくことが、今まで以上に求められてきます。
スピーディな意思決定、変化に対応できる臨機応変さ
VUCAの時代においては、トレンドを分析したり、決断に迷ったり、アイデアを検証している間に情勢が刻一刻と変化します。
そのため、限られた時間の中で、よりスピーディな意思決定と、想定外の出来事が起きてもすぐに軌道修正が可能な臨機応変さが欠かせません。
シナリオやプランを必要以上に固めようとせず、トライアンドエラーの中で戦略を組み立てていく柔軟な姿勢が求められます。
自分自身を日々ブラッシュアップしていこう
VUCAの時代においては、まるで「一寸先は闇」です。
今まで過去の踏襲で対応できていたことも通用しないケースも多々発生するでしょう。どのようなビジネス手法が成功するかは誰にもわからず、時代の変化とともに市場のニーズも目まぐるしく変わっています。
しかし、そんなVUCAの時代を乗り越えていくために必要な力は、目新しい能力ではなく、今までも必要とされてきたベーシックなもの。
ビジネスを動かす根幹ともいえる能力を、これからも鍛え続け、VUCAの時代でもしっかりと対応できるような人材になっていけるように日々ブラッシュアップしていくことがおすすめです。
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