2020.6.6 2020.6.8
役員・取締役・執行役員の違いと業務の役割とは?
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会社におけるさまざまな役職の中でも役員、取締役、執行役員の違いと役割について詳しく把握している方は意外と少ないかもしれません。
役職名は会社法上で定められたものと、社内外での通称として使われるものがあるため、混乱しやすい一因にもなっています。
今回は役員・取締役・執行役員の違いと業務の役割についてご紹介いたします。
役員・取締役・執行役員の違い
まずは役員・取締役・執行役員の違いについて見ていきましょう。
- 役員:会社法上における「幹部職員」。
- 取締役:会社法上で定められた役職。会社の経営方針や重要事項を決定する権利を持つ。
- 執行役員:会社法上の役員ではなく、しいて言えば自然発生的に生まれた役職。
会社法上の役員 | 従業員 |
---|---|
取締役、監査役、会計参与 | 執行役員、部長など |
会社法上の「役員」とは、会社や団体における幹部職員を指します。
取締役は「役員」ということになりますが、会社法上では執行役員は従業員であり、「役員」ではありません。
会社法上では、役員は取締役・監査役・会計参与のことを指しますが、「役員等」となると、委員会設置会社における執行役・会計監査人なども含まれることになります。
※委員会設置会社:株式を公開している会社は、委員会を設置するタイプと監査役会を設置するタイプのどちらかを選ばなければなりません。
これらの大きな違いは、重要な業務執行の決定は、業務を執行する経営者自身に任せて、取締役会は経営者の監督に専念するのか(委員会型)、経営の監督者である取締役会が、自ら重要な業務執行を決定するのか(監査役会型)という点になります。
そもそも「株式会社」とは何か
会社法には、大きく「株式会社」と「持分会社」の二種類がありますが、その違いは、出資者の地位を他人に自由に譲渡(売却)することができかどうか、というところにあります。
株式会社の出資者のことを株主といい、株主の地位のことを株式といいます。
株式を自由に売買(譲渡)することができる株式会社(上場企業など)では、所有と経営の分離が前提です。
そのため、必ずしもオーナーである株主が会社を経営するわけではないのです。
もちろん取締役や執行役員でも自社株を持っていて株主でありながら業務を担当している場合も多く見受けられます。
そこで、株主に代わって会社を経営する人や、株主のために経営者の経営内容や経営状況を監督する人が必要になります。
会社法では株式会社は必ず1名は取締役を置かなければならないと定めています。
持分会社については、出資者のことを社員(会社の「従業員」とは異なる)といい、社員の地位のことを持分と呼びます。
持分会社は「合名会社」「合資会社」「合同会社」の3種類に分かれており、社員が会社の債務に対して責任を負うのか、出資額を限度に責任を負うのかによる違いとなります。
株主に代わって会社の経営をするのが取締役となり、執行役員は会社法上の役員ではなく、取締役によって決定された業務を実行する従業員としての役割を持ちます。
かつて、外国人投資家からの「日本の大企業は取締役の数が多すぎる。経費の無駄遣いになるだけでなく、取締役会での活発な議論を阻む要因である」などとの意見が根強かったこともあり、多くの大企業が取締役会のスリム化に向けて取締役の数を削減しました。
これまで取締役であった人が従業員に格下げ、というのでは反発の声が上がることが予想されたため、取締役と従業員の間を取り持つ存在、というような意味合いで「執行役員」が設置されたのです。
取締役の業務の役割
取締役は会社の経営方針や重要事項を決定する重要な役割を持つため、株主総会により選任されます。
任期は、原則2年間と定められていますが、会社が定款によって任期を短縮することもできます。
ここでは、まず取締役会を設置する会社の取締役の役割について見ていきましょう。
監督
取締役には、自らの経営や事業に関する意思決定が、実際にきちんと進行しているかどうか監督する責任があります。
意思決定に基づいて業務を遂行する立場にあるのは、基本的には代表取締役および業務執行取締役です。
決定
取締役会では、株主総会で決議された事項以外の議案に関する意思決定を行います。具体的には、以下のようなものになります。
- 重要な財産の処分や譲り受け
- 組織の再編に関する事項(設置、変更、廃止等)
- 内部統制システムの構築に関する事項
- 代表取締役の選任や解任
監査
実際の会社の経営が、取締役会で決定された方向から逸れていないかどうかの監査をします。
法令や株主総会の決議事項に違反していないか監査するために、報告要求、財務調査、違法行為差止請求権といった権利も認められています。
取締役会を設置しない会社の場合、取締役の役割は、「業務の遂行」と「社の代表」の2点です。
業務の遂行
取締役会を設置していない会社においては、取締役は「経営に関する意思決定」および「業務遂行」の両方を責任を持って遂行します。
社の代表
取締役が2名以上選任されている場合は、取締役の過半数の賛成をもって業務の執行を決定します。
このような場合、各取締役が株式会社の代表となり業務を行います。
執行役員の業務の役割
前述したように、執行役員は会社法で定義された役職ではなく、あくまで各会社が個別で定めたポジションとなります。
事業部におけるトップの従業員として組織全体を統括するイメージです。
会社によっては執行役員制度を導入しており、幹部人材の機能が切り分けられています。
会社の人員の都合などにより、執行役員制度がない会社では、取締役が経営に関する重要事項を決定し、同時に事業運営にも責任を持ちます。
この場合、取締役が会社の重要事項を決定し、同時に事業運営にも責任を持つことが普通です。
こうしたケースでは、会社登記の際に取締役として名前を記載された執行役員は、「取締役執行役員」となります。
また、報酬に関しては、執行役員は会社法に基づいた取締役ではないため、役員報酬は支払われません。
定年に関しても、基本的にはその他の従業員と同じ扱いになると見て良いでしょう。
しかしながら、就業規則は各会社の個別のものになりますので、執行役員でない従業員よりも定年時期を延ばすといった取り決めをすることもできます。
執行役員制度をしっかりと機能させることによるメリットは、意思決定と事業を切り分けることによる、仕事のクオリティと効率化の向上です。
取締役が、事業進捗を監督するという本来の役割に集中できるようになることも期待できるでしょう。
違いと役割について抑えておこう
ここまで、いろいろな側面から役員・取締役・執行役員の違いについてお伝えしてきました。
会社を設立する時や、何か合同で事業を始めようという時、なんとなく取締役や執行役員という肩書きを選んでしまう場合もあると思います。
しかし、上記のように、役職によって担う役割や責任が大きく変わってきますので、ぜひ慎重に検討されることをおすすめします。
特にマネジメント層を目指している方であればしっかりと理解をしておき、求められている能力や業務について把握しておきましょう。
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